PRキーマンとの出会い

上田清司氏(埼玉県知事)

名刺はPRに最適

ドクター中松にお会いしたときに、名刺にたくさんの肩書き・プロフィールが並んでいて驚いた、という話を書きましたが、もう一人、大変な名刺の持ち主がいます。
その方を紹介しましょう。

私は名刺のオモテに、肩書き・名前と並べて小さなカラーの顔写真をいれ、ウラに事業内容を簡単に並べています。会社案内の縮小版のつもりにしているのです。
これは、政治にかかわっていた頃、埼玉県知事の上田清司さん(当時、民主党衆議院議員)から学びました。
彼は「地盤・看板・カバン」のいわゆる政治家の武器がない、叩き上げの落下傘候補(九州出身)として、代議士に初当選するまで12年かかりました。
その間あらゆる手段を使って、すさまじいPRに努めたのです。
駅の街頭演説のとき、東口で本人がマイクをもって話すと、当然ですが、西口の人には聞こえません。
別のときにまた西口でも演説しないといけないわけです。これは非効率だ、ということで、彼は、東口で演説をするとき、西口にスピーカーをおいて、無線で音を飛ばし、西口の人にも同時に聞こえるようにしました。
また始発から終電までのマラソン街頭演説をたびたび試みました。
朝に「おはようございます。いってらっしゃい!」とサラリーマンやOLを送り出し、夕方、夜に「お帰りなさい!」とまた駅で迎えるわけです。
特に忙しい朝は、ほとんどの人が演説など聞いておらず、「何か話している人がいるなー」という印象程度ですが、帰宅のときも同じ人間がマイクを持っていると、「ずっと話していたのか?」と驚き、感心して、強い印象をもってくれるのだそうです。
このとき、彼は演説はもちろんなのですが、名刺を配ることに重点を置いています。
その名刺も大変なもので、つづら折になっており、8ページあります(笑)
中身は大きな顔写真にはじまり、経歴、政策、選挙区、事務所の地図など、あらゆる情報が詰まっています。
つまり、1枚の紙ではなく、小さなパンフレットになっているのです。
その理由はこうでした。
「普通のパンフやビラはすぐに捨てられる。名刺はなかなか捨てにくい」

駅前で演説をやってみるとわかりますが、ほとんどの人は政治家のビラを受け取らないし、たとえ受け取っても近くのゴミ箱に捨ててしまいます。
これではモッタイナイし、効果をあげられない、と考え付いたのだそう。
猛烈な選挙運動で、代議士、県知事まで登りつめた上田さんの、面目躍如といったところでしょうか。その根性に深く敬意を表した覚えがあります。
自社の商品やサービスを売り込みたい、ベンチャー・中小企業の経営者や、企業のPR担当者の方も、せめて名刺くらい、真似てみてはいかがでしょうか?個性そのものでもいいし、今売りたい商品を前面に出してもいいでしょう。いくらも費用はかかりません。
「たかが名刺、されど名刺」です。
恥ずかしがっていては、仕事にならないのは、政治家と同じだと思います。

上田きよし(無所属・ 参議院議員 ・前 埼玉県 知事) – 埼玉から日本を変える – 公式ウェブサイト。一人でも多くの国民のみなさまに私の声を届けます。
公式ウェブサイト。一人でも多くの国民のみなさまに私の声を届けます。