PRノウハウハウツー

ネットが新聞を駆逐する?

トムソン、ロイターを買収決定

15日、カナダの情報サービス大手「トムソン」が、英メディア大手「ロイター」グループを、87億ポンド(約2兆1000億円)で買収することで合意した、と伝えられました。(日本ではトムソン・フィナンシャルとして有名)
企業や金融機関向けに、世界規模で経済情報を提供する「トムソン」が、ロイターを買収したのは、この分野でトップの「ブルームバーグ」(創業者はのちNY市長。市内禁煙を推進しました。今では、NYはバーでもタバコを吸えません。笑)を追い抜くため、といわれています。
余談ですが、新聞でときどき、「ロイター共同」というクレジットをみかけます。これは、ロイター通信社が取材をした記事を、共同通信が買って、国内に配信し、さらにうちの新聞が買って、載せました、という意味です。

世界的メディアの再編へー日本も

アメリカでは、4月に、不動産業の富豪が、新聞グループ大手「トリビューン」(ロサンゼルス・タイムズなど発行)を買収したばかりです。
また、米「ニューズ」コーポレーションが、米「ダウ・ジョーンズ」(ウォールストリート・ジャーナルなど発行)の買収を提案しています。
「ニューズ」はオーストラリアのメディア王・マードック氏が所有。FOXテレビ、20世紀FOXなどがあります。かつて、テレビ朝日を、ソフトバンクと一緒に買収しようとしました。
次から次へと、メディア界でM&A(合併再編)の嵐が吹き荒れ、世界的な規模で、メディアの再編が進みそうです。
前回の日経金融新聞の関連にもなりますが、インターネットの普及による新聞メディアの圧迫が主因、といえるでしょうか。「グーグル」の破壊力に代表されるネット企業の台頭によって、新聞やテレビの既存メディアで、販売・広告収入がどんどん減っています。
日本も例外ではなく、日経の部数減のみならず、毎日新聞の経営危機(むかし、一度倒産したことがある)もささやかれています。かつてのライブドアがフジテレビの、今、楽天がTBSの株取得に動いているのも、この流れの一環です。
欧米に比べて、日本のマスコミは「堅い」(新聞は株式公開していない、テレビは法律で縛られている、など)ので、欧米ほどダイナミックにはいかないでしょうが、今後も新たな動きの出ることは、十分予想できます。

自分メディアの時代

今や、ブログやSNSを通じて、個人が、誰でも、情報を発信できるようになりました。最近では、素人作家が携帯電話で小説を書き、ベストセラーが誕生しています。
マスメディアだけが、発信源ではなくなったのです。
誰でも自由に情報・アイデアを世に問うことができます。「メディアの大衆化」、「自分メディアの時代」、といえましょう。
私も元日経記者で、現在はこうしてメルマガやブログを書いていますが、固定読者がつけば、商売が成立してしまいます。
参照
逆にいえば、既存メディアは、個人レベルではとうてい太刀打ちできないような、高度な情報を発信しないと、顧客に見放されてしまうということです。
製造業では、中国などに単純製品の生産を奪われ、日本では企画と高級品の生産に特化する構造変化が起きていますが、メディアの世界でも、今後、住み分けが起きてくるかもしれません。
企業のPRも、既存と新規のメディア(ネット広告、アフィリエイトなど含む)の使い分けが、ポイントになってくるでしょう。