社長コラム

日経金融新聞、廃刊?

日経金融新聞、廃刊?

一部雑誌などにでましたが、日本経済新聞社の「日経4紙」といわれるうちの、日経金融新聞が廃刊になる、というウワサが出ています。
雑誌報道などによると、読者の多くを占める金融機関が統廃合によって著しく減ったため、購読部数が減少し、広告収入も少なくなっているといいます。
9月をメドに廃刊する、とのことです。
正式な発表はまだありませんが、確認をとってみたところ、すでに日経金融の広告の受付を絞り始めており、本当のようです。

日経金融の思い出

日経金融は社内では「KS」と呼ばれています。
平日の朝刊のみ。創刊は87年なので、ちょうど20周年になります。
私が日経に入社したのが86年だったので、ほぼ同時期で、創刊時に臨時ボーナスが出たのを覚えています(笑)
バブルが始まる直前であり、市況データが中心であったため、「少ないページ数で、内容も薄いなあ」「誰が読むんだ?」などと社内で陰口を叩かれながらのスタートでした。
とはいえ、タイミングは絶好であり、「財テク」という流行語がでたくらいの時期ですから、銀行や証券会社など金融機関は、部署ごとにまとめて購読していました。大手は1社で数百部とっていたはず。
また、まだマネー誌がほとんどなかったので、一部の個人投資家も読んでいました。
その後は、順調に部数を伸ばし、記事にも力を入れて、「人気アナリストランキング」などの名物特集を生み出し、内容もどんどん充実していきました。

脱・新聞か?

しかし、残念ながら、バブル経済は崩壊、ITバブルがあったものの、それも崩壊、と荒波を受け、ついに力尽きたようです。
日経のHPでは、05年下期の販売部数は4.6万部となっています。
実際にはもっと少ないでしょうし、これは創刊した当初と、ほとんど変わらない水準だと思います。
販売だけでなく、広告も収入のダウンは著しく、廃刊は規定路線として、「いつ止めるか」「誰が責任をとるか」というところまできていたので、廃刊そのものに、あまり驚きはありません。
日経新聞本体(本紙)も、団塊世代の退職に伴う「2007年問題」によって、部数の減少は避けられないと危機感を抱いていますから、新たな媒体に注力するきっかけにしようというのでしょう。
新聞という紙メディアにどこまでこだわるか、という課題はありますが、たとえば、NIKKEI NETの充実ぶりは最近けっこうなもので、若者や女性の読者が増えているので、言論・情報機関として模索をしている段階なのかもしれません。
新聞印刷を最初にコンピュータ化したのも、日経ですから、メディアの技術革新については、業界最先端のはず。
次の一手に期待したいものです。