PRノウハウハウツー

選挙とPR その2

5回候補者と接したら、投票してくれる

選挙で、有権者がその候補者に投票してくれるまでには、「5回候補者と接する必要がある」、といわれます。1回や2回くらいでは、ダメなのです。
5回というのは、なんらかの形で、という意味です。
たとえば、ポスター、宣伝カー、政見放送、街頭演説、集会、ビラ(チラシ)、ニュースなどです。
本当は、候補者本人とジックリ話すことが一番望ましいのです。納得すれば、一度あっただけでも投票してくれるでしょうし、握手しただけでも感激して投票する人もいます。
が、選挙期間は限られていますし、選挙運動は朝8時から夜8時までしかできません。
企業で言えば、すべての顧客に、社長が直接話したり、商品企画・開発・製造担当者が直接話すわけにも、なかなかいきませんね。
そのため、メディアを使って、周りの人(営業など)がより多くの人に伝えることになります。人間には五感がありますから、それを活用したほうがいい(肌さわり、匂い、味なども)のですが、手段が限られるので、どうしても、目や耳への訴えかけを中心にすることになります。

トップの個性を生かす

前回のメルマガで、例外とした、菅直人の場合、かばん(お金)と地盤がなかったので、カンバン(個性、大義名分、政策)と、マスコミを大いに活用しました。
「自立した市民社会の実現」をテーマに掲げ、しがらみのない、利益誘導でない政治を目指すと訴えました。団塊の世代、市川房枝・元参議院議員の選挙参謀、市民運動家などが、カンバンでした。
当時、田中角栄元首相が逮捕され、金権政治が問題になっていたため、クリーンなイメージで、アンチテーゼを訴えたわけです。ここは強烈なポリシーがありました。経営理念の大切さは、企業でも同じことですね。
また彼は政治家に珍しく(?)、ハンサムであったため(ポスターが女性によく盗まれた)、その個性を最大限生かしました。ファッションにはまるで無頓着だったのですが、まわりがカッコよく仕立てあげました。
企業で言えば、社長を広告塔に仕立て上げる方法があります。チョイ悪社長でもイケメン社長でもいいですし、本を書いたり、講演をしたりするのもいいでしょう。

マスコミを味方につける

菅直人のもう1つの特徴は、マスコミを味方につけたことです。
金権政治にマスコミは批判をしましたが、とくに、マスコミに決まった方向があるわけではないので、良い(世の中の役に立つ)と思えば、味方になります。
企業で言えば、マスコミは不祥事を起すと厳しく指弾しますが、一方で新製品も紹介しますよね。
菅の場合、筑紫哲也氏(TBSニュース23。当時は朝日新聞編集委員。マージャン仲間。笑)や、本宮ひろし氏(漫画家。ゴルフ友達)などと対談して、テレビや雑誌などに登場したり、社民連という小さな党の代表として、討論番組に出演していました。
また選挙戦そのものでは、主婦や学生のボランティアを大量に運動に参加したもらい、その素人の目線からでたアイデアを実現することで、他の候補者にない目新しさを訴え、新聞に注目されました。
「政治・政治家とはこんなもの」、といわれていた常識を覆し、斬新さと期待感を生み出したわけです。
企業で言えば、「うちの業界ではこうなっている」という常識を破ってみることでしょう。ビジネスモデルでもいいし、新商品でもいいでしょう。
オフィスでも、社内制度でもナンデモありです。
インターネットの世界では、リナックスやウイキペディアなど自由参加で創りあげていく商品(?)が人気になっていますが、これも参考になるでしょう。
基本的に、マスコミは「ニュース」を追いかけています。
ニュースとはNEWSであり、「新しいこと」です。自社のどこが新しいのか?その商品の何を新しくするのか?などを考え、広報マンやPR会社を使って、マスコミに働きかけてみましょう。

選挙とPR その1
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