ペーパーイベント
今日は、プレゼントキャンペーンの派生形である、「ペーパー・イベント」についてお話します。
これは雑誌や新聞などの紙誌面上でイベントを行うものです。メディアを通じてアンケートや作品、体験談を募集し、その当選者に賞品をプレゼントします。
このメリットは、単に商品やサービスのPRだけでなく、企業イメージのアップやブランディングといった、ワンランク上のPR活動ができる点です。
そのため、一般ユーザーに対して提供する商品などを持たない企業にとっては、とくに有効な手段です。
さらに、応募アンケートや作品を利用して二次、三次のPRもできますから、「1粒で2度美味しい」キャンペーンでもあります。
動物の名付け親募集
たとえば、N動物園はある展示施設をオープンするとき、全国で知名度を上げるため、その年生まれた動物の「名付け親」を新聞・雑誌で募集しました。
その結果、約100の雑誌や新聞で紹介され、段ボール箱3箱ものはがきの応募(約3万通)がありました。
募集告知を無料でメディアに掲載してもらったのに加え、命名式に新聞社や雑誌が取材に来て記事になりました。また名付け親の紹介や動物の名前を紹介したリリースを発送し、さらなる掲載を得ました。
おまけに、「地元なのにそんな動物園があったことを知らなかった」とか、遠方からも「一度その動物の赤ちゃんを見に行きたい」などの反響が寄せられ、知名度は一気にアップしました。
「1粒で2度」どころか、3度も4度もおいしかったわけです。これをすべて広告でまかなえば、数千万円はかかったでしょう。
しかし実際に動物園が要した金額は、命名式への招待費用+賞金10万円にすぎません。
人手はかかる
有名なところでは、第一生命の「サラリーマン川柳」、伊藤園の「お~いお茶新俳句大賞」などがありますね。
とはいえ、ペーパーイベントの問題点もあります。
それは、非常に手間がかかることです。
動物園の例でも、3万通のはがきに全て目を通し、名前ごとに分類し、どのような名前が多かったか集計をしました。さらにその動物にふさわしい、あるいはN動物園をPRするのにふさわしい名前をピックアップし、20程の名前候補をあげました。
当然これらは全て手作業です。お金がかからない分、労力がかかることは覚悟しておかねばなりません。
決め手はアイデア
ペーパーイベントでものをいうのは、アイデアです。
たとえば、旅行会社が一般的なマーケティング調査をペーパーイベントで行おうとしても、その賞品としてかなり魅力的なもの、高額な招待旅行などを用意しなければ、なかなか掲載してもらえないでしょう。
そのアンケート調査の結果をPR材料として二次利用しようと思っても掲載にまで持っていくことは難しいでしょう。
しかし、「旅行の失敗談募集」のようなテーマですと、マスコミも面白そうだということになり、実際に想像を絶する(?)ような体験談も集まるでしょうから、無料告知、二次利用の可能性は高くなっていきます。
保険会社にしても、「サラリーマン」「川柳」とは本来ほとんど関連性もないわけですから、こじつけたといわれても仕方ありません。
ですが、誰もが平凡な日常で感じていることを、川柳というひねり技で、アイロニー(皮肉)とペーソス(悲哀)豊かにに仕上げたことで、名物行事になりました。
コロンブスの卵よろしく、最初にやった人の勝ち、の良い例です。みなさんも、少し頭を横にしたり、逆立ちしたりして、知恵を絞ってみてはいかがでしょうか?