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紅白と不二家の危機

ぶざまなNHK紅白処理

年末のコラムで、危機管理(リスクマネジメント)が大事になってきた、と指摘したら、さっそく事例がいくつも登場してきました(笑)
まずNHKの紅白歌合戦。
DJ OZMAの歌のとき、ダンサーが裸に見えるシャツを着ていたため、講義が殺到した、という事件です。
タレントが面白がってやったのは確かですが、問題なのは、その後のNHKの対応です。
「あんなことをするとは、知らなかった」「(週刊文春の記者に)警察を呼びますよ」などと、まるで無責任な言い訳に終始し、呆れてしまいました。
「知らなかった」、で済まされるなら、埼玉工場が期限切れの食材を使ってしまっていても、不二家の社長は「知らなかったから」でいいわけですよね?
こんな言い訳が通用するなら、ビジネスもどんなに楽だろう、と思いました。
逆に言うと、NHKはやはり「公務員」の感覚であり、世間知らずである、ということを露呈したことになります。

体質という問題

NHK記者の放火事件が現在裁判中ですが、これもあわせて考えると、どうやって政治家や官僚、企業の責任追及ができるのでしょう。報道機関として、危機的な状況だと思います。
先日から国会で、NHK経営の根幹を成す放送法の審議が始まりましたが、NHKはもはや無責任な体質、官僚的な発想が当たり前になっているのでしょうから、相当厳しくチェック体制を求めないと、自助努力は期待できないでしょうね。
いっそのこと、国営放送として政府が管理する会社と、自由に番組を作れるが独自経営をする会社に、分けてしまったほうがいいかもしれません。少なくとも、手厚い福利厚生も削って、全体予算を削減の上、受信料値下げをすべきです。
「広告に頼らないから、よい番組を作れる」のは確かですが、それに甘えすぎて、「予算もヒトもいくらかかろうが、何をしてもいいのだ(やりっ放しでいい)」という意識が根底にあると感じます。
このままでは、ますます意識的な受信料不払いが増えることでしょう。

ペコちゃん、がっかり

神楽坂にある弊社近くにも、不二家のお店があります。
ケーキなどのほかに、ここだけで売っている「ペコちゃん焼き」という商品があり、夕方になると、行列ができる人気でした。
不祥事発覚当初、ケーキ販売は止めても、店で独自に作っているペコちゃん焼きは販売していたのですが、マスコミが殺到したので、これも止めてしまいました。 私も好きだったので、残念です(笑)
11月というお菓子業界最大のイベントであるクリスマス直前に、不祥事は行われていたことになります。
おそらく、工場の現場はてんてこ舞いだったのでしょうね。
なんとなく「おかしいな」と思っていた人は、実は結構いたのではないかと想像します。でも、目の前の現実に流されてしまった・・・
実態を把握していたのに公表しなかったのは、営業サイドからの圧力であっただろうと容易に推測できます。とはいえ、オーナー企業なのだから、トップが決断すればいいことなので、その点では、トップの責任は大きいといえます。同族企業のよい点もあるわけで、トップダウンが効くのですから。
1回のクリスマスに気をとられて、ブランド価値は大きく傷つき、会社自体の存続が危うくなってしまいました。

ごまかしにくいネット時代

不二家の場合、社内では「黙っていれば、わかりはしなさ」という楽観論が最後は通ってしまったのではないか、と思います。
かつてなら、そうだったでしょう。
スーパーの食品で賞味期限をシール換えして、ごまかすのは日常茶飯事でした。売れ残れば困るから、1日くらい、1週間くらい、大丈夫だろう、と。
しかし、今やインターネットで、誰でも情報を発信できる時代です。
不祥事発覚の多くは、内部告発であり、当事者、あるいはその周辺から起きることが増えています。
会社側が揉み消そうとしても、「人の口に戸は立てられない」状況になっていることを企業は認識すべきでしょう。
ならば、「起きてしまったことは仕方がない」と開き直り、それをいかに最小限のダメージに抑えるか」を考えるべきです。さっさと悪いネタは出してしまったほうが、マスコミも矛先を向けるところがなくなり、手仕舞いになるものです。
隠すから、かえって疑られて、根堀り葉掘り、追及されるのだ、と覚えてください。あとからバレルと、被害は甚大になり、「こんなことなら、最初から公開しておけばよかった」とほとんどの担当者が言います。
あらかじめ、危機管理対応を社内で考え、シミレーションしておくことも大切ですね。