PRノウハウハウツー

いい人ではダメ!

広告における「いい人」考

広告のコンサルティングをしていると、ときどき困った事態に遭遇します。たとえばこんな例。

客観的にみても、かなり優秀な技術であったり、珍しい商品であったり、人の役に立ちそうなサービスである場合、「ぜひこれを世間に知らしめたい!」と血が騒ぎます(笑)。
わりと熱くなりがちな性格であることも、重なって、「もっと宣伝しましょう、これもアピールしましょう」と商売も忘れるほどにのめりこんでしまうことがあります。
お客さんも、外部から評価されて嬉しいらしく、「そうですか。そう思いますか!自分では自信があったんだけど、当たっていましたか」と喜んで、最初は盛り上がってくれます。
ところが、いざ広告物を制作しよう、あるいは制作したとたん、「やっぱりやめておきましょう・・・」と急に冷めてしまうのです。
「なぜ??」と聞くと、「いやあ、よく考えてみると、そんなたいしたものではありませんよ。ははは」「そんなことはないです。これだけの優れものは、そうそうあるわけではありません。早くアピールしないと、どこかが先に出してしまいますよ!?」

ビジネスは別物

いくら強調しても、いったん冷めた熱はもう二度と、沸点には達しません。せっかく盛り上がったのに、ひゅるひゅるひゅる、としぼんでしまいました。。。
こうしたことを言い出す人は、とても「いい人」が多いのです。家に帰れば、やさしいお父さんであり、会社では人望の厚い社長であり、社会でも尊敬を集めていたりする場合が多い。
ではどうして?

日本人の美徳である、「謙譲の精神」が突然頭をもたげてしまうのです。
「そうはいってもねえ」
「私なんて・・・」

こういうとき、とても残念で、悲しい気持ちになってしまいます。
誰かに迷惑をかけるわけでもない、文句もつけようがない、世の中の役に立つ、会社の利益に確実に貢献できる。
良いこと尽くしなのに、当の本人が、明確な理由もなく、ブレーキを踏んでしまうのですから。
しかし、これでは、せっかくの汗と泥にまみれた苦労がむくわれません。むざむざと、自分の得られるはずの利益を他人に明け渡してしまいます。

遠慮は無用

個人レベルでは、私はこういう人が大好きです。心から尊敬の念をもってしまいます。自分に欠けている部分だと自覚しているのかもしれません。
ただ、ビジネスにおいて、このやさしさは無用!

「誰がなんといおうと、ウチの商品は世界で一番だ!」
「俺の会社より、優れたところがあったら、見せてみろ!」
というくらいの気迫がほしい。
絶対の自信を見せ付けてほしい。小泉首相の狂気がほしい。

どうみても人の役に立って、利益を生み出すことがわかっているのに、むざむざそれをあきらめてしまう、しかも、自分自身の心のブレーキによって、というのは、間違っています。
誇大表現はよろしくないでしょう。しかし思い入れの強さや、その価値を十分に知らしめる広告は、決して恥ずべきものではなく、むしろ胸を張って、主張するべきです。

はっきりいいます!
「広告に遠慮は無用」