「世界の中心で、愛をさけぶ」ロケ地
私は最近、西伊豆にいきました。
地名で言うと、松崎町あたりです。
ダイビングで有名な雲見、ウコン色の屋根で有名な岩地海岸に宿泊し、山と海を満喫しました。
松崎町といえば、伝統的ななまこ壁、コテ絵のある温泉で知られていますが、最近では、TBSドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」のロケ地とし
て、名をあげました。
原作になったのは、ご存知のように、300万部突破の、同名の青春恋愛小説大ベストセラーです。松崎町が選ばれた理由は、「空の青と山の緑のコントラストが素晴らしい、海のある田舎町」だから、ということです。
フィルム・コミッション
ただ、松崎町が選ばれたのは、単なる偶然ではありませんでした。
そこには、戦略的なPRの取り組みがありました。
「フィルム・コミッション伊豆」といいます。
伊豆は自然が豊かで、昔から多くの文化人が訪れた地域。多くの名作も生み出されてきました。それを現代にも生かして、地域振興につなげようとしているのです。
フィルム・コミッション伊豆は、「映像を通して地域を再発見し、地域づくりと経済的振興を図る」という目的で平成13年に設立されました。
『伊豆はひとつ』を合言葉に、伊豆地域14市町の行政、各種団体等とコンソーシアムを形成し、伊豆全域で撮影の支援活動を行っています。
伊豆地域は、豊富なロケーション資源に加え、首都圏より近く、宿泊や飲食など受け入れ機能も充実している地域性をいかし、すばらしい映像作品の誕生を応援することで、“ロケのメッカ伊豆”のイメージづくりをめざしています。
(フィルムコミッション伊豆より抜粋)
メディアでPR
フィルム・コミッションは、ロケ地の紹介だけでなく、道路など公共施設の使用許可申請、エキストラ・宿泊の手配まで、撮影のさまざまなサポートをまとめて行っています。
これまでも、NHKの大河ドラマの舞台になると、観光地化するというパターン(今なら「功名が辻」の高知県など)がありましたが、このコミッションは、受身で待っているのではなく、地域のPR手法としてサービスサポートを整え、積極的にテレビ局や映画会社に働きかけているのが大きな違いです。
アメリカでは、映画の舞台に取り上げてもらうやり方が、以前からあります。
おかげで世界的に有名な観光地になったところもたくさんあります。
こうした働きかけの結果、伊豆は05年だけで、テレビ18本、CM6本、映画8本の舞台になりました。広告換算の効果を考えたら、ばく大な金額になることでしょう。
有名タレントがドラマの中で身に着けた商品がヒットする現象がありますが、こちらは背景に登場させることで、知名度、イメージのアップにつなげ、観光客誘致を図っているわけです。
かつて、地域振興といえば、工場など企業誘致、公共事業が一般的でしたが、いまは、こうしたメディアに狙いを定めた、PRによる手法も注目されています。同じ素材でも、アプローチを変えると、違う活用法がある、という見本かもしれませんね。