取材しやすい企業とは?
企画提案の3つのポイント
メディアに持ち込む際の提案のコツ、取材しやすい企業とは?などについて、お話します。
新聞の(生活家庭面の)特集コーナー、雑誌の特集は、似たようなものを比較するという構成が中心です。
その場合、掲載されると、広告換算で数百万円から数千万円も効果がある(全国紙の場合)といわれています。
前回あげたリゾートクラブの場合は、すでに取材を終えたコーナーに割り込んだという形でしたから、それほど大きくではありませんでしたが、逆に、こちらから企画を考えて持ち込めば、もっと大きく紙面を割いてもらうことが可能です。
たとえば
「○○というボートを紹介してもらえたらと思って資料をお持ちしました。もうすぐ夏なので、マリンスポーツが盛んになります。マリンスポーツでは最近△△や□□といった新しいスポーツがでてきていますよ」
というように、自社の商品とともに、ライバルではない他社の商品の情報もさりげなく記者・編集者に伝えると、それを元に企画を考えてくれたりします。
いつも企画ネタに頭を悩ましている記者・編集者(たとえば、週刊文春は編集者1人当たり、毎週10本の企画を考え、会議に出さなければなりません)にとって、こうした提案は、実はとてもありがたいものなのです。
もちろん、プライドがあるので、「待ってました」とはいいませんが、内心では「助かった」と思うこともしばしばのはずです。
ポイントは、3つ。
1 企画のヒントを提示すること。
2 例を多くあげること。
3 ひねりがあること。
具体的に企画を立てるのは、メディアの仕事ですから、その領域にまで踏み込まずに、あくまでさりげなく提案をすることです。
例が多いと、信憑性が増します。
さらに、その業界に詳しい者だからこそ、できる提案・アプローチ(記者や編集者は必ずしも、すべての業界をすべて知っているわけではない)だとさらによいでしょう。
気をつけたいのは、誰でも考えつきそうな企画ではダメ、ということ。
たとえば最近はやりの携帯音楽プレーヤーを単純に比較する、くらいでは無理です。
かえって、評価を落とすので、いわないほうがいいでしょう。
取材しやすい企業とは?
ニュースリリースにせよ、電話や直接の持込にせよ、PRの機会を最大限に活かすためには、まず記者・編集者の印象をよくすることが大切です。問い合わせがあったとき、きちんと対応できるようにしましょう。
記者・編集者の印象をよくするというのは、別に難しい話ではありません。
何も記者を接待したり、おだてていい記事を書いてもらおうなどとしなくても、「取材がスムーズにいった」「面白い話が聞けた」という印象を与えることができれば、それだけで記者の筆は進みます。
これまで20年に及ぶ取材の経験からいうと、取材しやすかったのは、広報課、経営企画室といった部署が取材の受付窓口になり、取材内容に応じて担当部署を紹介する仕組みになっている企業です。
広報専任の担当がいるのは大企業に限られるでしょうが、中堅・中小企業でも、メディア対応の窓口をひとつに絞っておく(担当者を決めておく)ことは、ぜひ実行しましょう。
なぜなら、取材する側からすると、誰に聞いたらいいのかわからない、というのは、大変不安になるからです。
安心して取材できないと、記事にはできないのです。
メディア対応の窓口が定まっていないと、記者・編集者は大変取材がしにくくなります。
こちらの質問に対し、たまたま電話に出た人が個人的な考え方を述べたり、たらいまわしにすることは、絶対に避けましょう。
こんな例があります。
ある機械メーカーに電話取材をしようとしたら、
「担当は専務ですが、今日は名古屋に行っているので、明日お電話ください」といわれ、翌日専務をつかまえると、
「その件は社長じゃないと分からない」とのこと。
「社長は?」とたずねると「今日から1週間出張」。
この時は、原稿締め切りが迫っていたため、その会社は諦め、ライバル企業を取材しました。
こうした対応をとられると、
「この会社は、取材に苦労するので、あまり聞かないほうがいいな」
という印象になってしまいます。
せっかく関心を持って、取材をしようとしたのに、これではみすみすチャンスを逃したことになります。
ああ、もったいない・・・
この場合、メディア担当者がきちんと責任を持って受け付け、専務か社長につなぎ、こちらから記者・編集者に電話をするのがベストです。
そのためにも、担当者を事前に決めておく必要があります。