PRノウハウハウツー

プレスリリースの書き方 その5

すべてを書いてはいけない

「リリースに賄賂を仕込め」とお話しました。
WHAT(なにを)で差別化し、WHY(なぜ)とHOW(どのように)で、ひきつける。
記者や編集者の驚きや発見、あるいは好奇心をかき立てたり満たしたりするポイントをいれておきましょう、ということでした。
とはいっても、開発の背景などをあまり詳しくプレスリリースに書いていたら、文字量も膨大なものになりかねません。
長すぎるリリースはかえって敬遠されます。
それではどうすればいいのでしょうか?
たとえば、リリースでは概要だけをサラリと書くにとどめ、強調したいことについては、「参考資料」として添付しておきます。
「おや?」と思う記者がいたら、ラッキー。
もうこちらのワナにかかったようなもの。
疑問を抱いたら、解決せずにいられないのがマスコミ人ですから、すぐさま問い合わせの電話がかかってくるでしょう。
また、「腑に落ちない」書き方をするというのもひとつの方法です。
たとえば、現在のトレンドに逆行する手法をとったことだけをリリースに書きます。
すると記者は、「なぜ?」とその理由を知りたくなり、取材をかけたくなります。
こちらとしても「腑に落ちない」部分こそ、実は取材して欲しいところなのです。
リリースだけより、取材を受けたほうがはるかに効果的であることは間違いありません。
単純に働きかけるのでなく、向こうからきてもらえるよう、知恵をしぼりましょう。

プレスリリースの文章構成・・・タイトル

次は、文章構成を考えてみましょう。
読み手(記者)の立場に立ってプレスリリースの構成を考えることがなにより大切です。
記者の立場に立って、というのは、つまり記事化しやすい構成で文章を考えるということです。
逆に言えば、記事がどのような順番で書かれているかを考えれば、リリースの文章構成をどのようにすればよいかは自ずと分かるでしょう。
まず大切なのはタイトル。
リリースを読む前に、それが新製品に関するものなのか、業績に関するリリースか、あるいは役員人事に関するリリースなのか、を一目瞭然で伝えるのがタイトルです。
また、記者の読む気を起こさせるかどうかを決めるのもタイトル如何にかかっているといえます。
ですから、1〜2行程度のタイトルに、リリースにつぎ込むエネルギーの70〜80%を割きましょう。それくらい大事な部分です。
たとえば「新製品を○月○日に発売」ではなく、「△△に悩む人待望の新製品を○月○日に発売」というように、新製品を形容する言葉を表現したり、「日本一の○○を誇る」とか「世界初の○○」といった言葉を加えましょう。
かといって、ウソはいけません。ここがテクニックのみせどころ。
たとえば「日本でNo.2」といった場合には、正直にそれをタイトルに表現してもインパクトに欠けますから「日本一クラス」と表現したり、「○○業界では世界初」といった場合には、タイトルには「世界初」と表現したうえで本文中に「他の業界では前例はあるが○○業界では世界初」と、詳しく紹介するというレベルまでは許容範囲でしょう。
(キャッチコピー講座はまた別途書きます)

文章構成・・・本文

ついで本文。
本文の最初にはリリースの概要、つまり記者が一番知りたいことを5行程度でまとめるようにしましょう。
「リード」といいます。
簡単にいえば、「誰がいつ何をどうするか」です。
「豊かなエレクトリックライフをお届けするためにユニークな家電製品を製造販売しているA社は、デザイン性豊かな低価格の○○を△月△日に発売します」という感じでいいのです。
概要の後、新製品の場合、どのような商品で、なぜその商品を発売するのか、その理由や発売の背景など、より具体的な内容について書くようにすれば、記者はリリースを読み進めるに従って理解を深めることができますし、記事にしやすくなります。

コツとしては、ダラダラと書かないこと。
アピールポイントがぼやけ、興味をそぎます。
一番訴求したいポイントは何かを把握した上で、それについて詳しく書くようにしましょう。

文章構成・・・長さはA4用紙1〜2枚で

リリースの本文の長さは、A4の紙で1〜2枚程度が目安です。
長く書いても、自己満足に過ぎません。むしろ先に述べたように、ちらりとみせて、あとは取材にきてもらいましょう。リリースで理解できないことがあれば、記者が取材をしてフォローしてきます。
5W2Hが必要項目といえど、必ずしもその全てが書かれていなければいけないわけでなく、その中で、どれがアピールポイントであるか。
そこをしっかりとふまえた上でリリースを書けばいいのです。
さらにそのリリースを裏付けるような資料(各種アンケート調査の結果や性能試験の結果など)があった場合には、別紙に参考資料として添付しましょう。
別の視点から記事化するということも考えられます。
最後に、問い合わせ先を明記。
単に社名と住所・電話番号を記すのではなく、広報の担当者名(もしくは担当部署名)もあわせて書きましょう。あくまでマスコミには親切に。
会社のURLも書いておけば、HPもみてくれます。
「マスコミ窓口としての問い合わせ先」は広報部や経営企画室、「記事に掲載されるべき問い合わせ先」はカスタマーセンターというように、問い合わせ先でも2種類あるケースも多いかもしれません。
この場合には、2つの問い合わせ先を明記し、特に「記事に掲載されるべき問い合わせ先」は四角で囲むなどして強調するようにしましょう。

プレスリリースの書き方 その6

プレスリリースの書き方 その1
プレスリリースの活用法 広告費を使わず、記事として紹介してもらう 「いい商品を持ってはいるものの、知名度が低くて売上が伴わない」 「ふんだんな宣伝費があれば、メディアに広告を打てるのに」 中堅・中小企業の方から、よく伺うお話です。 しかし、...
プレスリリースの書き方 その2
読まれてなんぼ、のプレスリリース 目立たないと読まれない!まずは形から ではプレスリリースを読ませ、記事を書いてもらうためにはどうすればいいのでしょうか? まず心がけたいのは、プレスリリースを読んでもらうこと。プレスリリースの入った封筒の...
プレスリリースの書き方 その3
5W2H。枕詞を 5W2Hがプレスリリースの基本 ではマスコミに興味をもってもらうための差別化とは、どのようなことでしょうか。 事実を伝えるには「5W1H」を、とはよく聞く話ですが、プレスリリースの場合、Why(なぜ)、What(何を)、...
プレスリリースの書き方 その4
リリースには賄賂を入れろ! 「WHAT」(何を?)で差別化する WHOの次は一番大切な「What(何を)」です。 この「何を」をうまく表現することができるかどうかが、プレスリリースをうまく書くカギです。 たとえば新製品の場合、「新型のコン...
プレスリリースの書き方 その6
プレスリリースはいつ出すべきか? 正しい日本語でわかりやすく 自分のいいたいことばかり念頭にあるために、主語述語の関係がバラバラだったり、記者が知りたいことが書かれていなかったりするリリースをときどきみかけます。 印象に残るような文章を書...