マスコミの功罪
捜査の進展
前回予測したことは、現実のものになりそうです。
東京地検特捜部の本当の狙いがまだみえてきません。金融庁など監督官庁をすっ飛ばして、いきなり立ち入り捜査をしたくらいですから、相当大きな「お目当て」があるはずです。
粉飾決算がまず出ましたが、これだけでは終わらないでしょう。もっと大きな、たとえば政権政党幹部を巻き込むような、リクルート事件の様相を呈する可能性すらあります。
今のところ、若手の茂木・元大臣に堀江氏が献金していた話がでていますが、こんなものではないでしょう。
あるいは、政治ではなく、経済事件として、大きなものになるのかもしれません。新聞・テレビの記者たちは、毎日夜討ち朝駆けを繰り返し、特捜部の真意を探ろうとおおわらわになっています。
マスコミの取り上げ方
ライブドア本社に捜査のメスが入ってから、マスコミは、まさに洪水のように、「ライブドア&堀江バッシング」の情報を流し続けています。
新聞はとりあえず各方面からのアプローチを試み、分析も重ねていますが、テレビがひどい。
同じ映像を何度でも繰り返し流すのは朝飯前で、堀江氏の出演した映像、今の流れにあうようなコメントばかり並べ立てて、これでもか、これでもか、と叩き続けています。
以前は英雄視してとりあげた同じ発言を、今度はマイナスにバッシング目的で使うのですから、ちょっと理解できません。
前日までの自分たちの行動は忘れてしまったかのようです。
経営者として登場した番組ならばまだしも、エンターテイメントの番組にもひんぱんに出演させて、企業価値向上=株価吊り上げの一翼を担った自覚はあるのでしょうか?
企業価値向上といっても、日本電産の永守社長や京セラの稲盛さんのような経営者としてのカリスマ性や、本来の業務の内容によるものではなく、単にタレント性だけですから、薄っぺらもいいところです。
これだけみても、日本のマスコミ、とくにテレビ局は、そのときどきの流行に非常の流されやすく、しかも影響力が大きいだけに、広範囲にわたってマイナスの影響も与えてしまうということがよくわかります。
堀江氏のマスコミ観
前回もメルマガにも書きましたが、堀江氏はマスコミの利用価値を十分に理解しており、「ヒルズ族」などと持てはやされるのを逆手にとって、上手にメディアを手のひらでころがしていたといえるでしょう。
同時に、自社内部にマスコミ経験者を多数抱え込み、ライブドア・ポータルサイトのニュースコーナーを充実させようとしていました。
知人である木村剛氏も同様でしたが、たくさんのマスコミ取材を受けた人は、メディアのよい部分と悪い部分を両方について、短期間に学習します。
そのうえで、発言を勝手に解釈されたり、都合のいいところだけ取り上げたりされるのを嫌がり、やがて自らメディアを所有しようと走るようです。
インターネットの普及に伴い、メルマガやブログなどを通じて、素人の個人でも好きなように安価で(無料でも)情報を発信できるようになったのですから、資金力があれば、メディアを自分で有して都合のよい情報だけを選択して流していこう、それによって世論を操作しようと考えるのはむしろ当然なのかもしれません。
メディアの将来
新聞はすでに成熟メディアになり、これ以上の成長は望めません。それに比べれば、テレビはまだ融通無碍で可能性のあるメディアと思われていましたが、インターネットの時代においては、「守旧派」になりつつあるようです。
善し悪しは別にして、ニッポン放送買収劇のときのフジテレビの対応をみても、相当に保守的で、身内を固める=守りの姿勢しかみられませんでした。
コンテンツの活用も、ネット企業から見れば「宝の山」なのに、ほとんど手をつけておらず、知的財産としての認識もないようです。
報道においては、新聞ほどの見識や取材・分析力もなく、かといって、ネットほどの革新性、可能性もない(BS、CSの惨状は目を覆うばかりです)ようでは、将来は暗いとしかいえないでしょう。
先ほどから述べているように、制作している側のレベルがこんな程度では、あっという間にネットに追い抜かれてしまうかもしれません。
いいかげん、新聞記者から取材をしたり、雑誌やネットといった他のメディアからネタを拾って、番組をつくような作業はやめて、テレビならではのポリシー(報道姿勢)・人材育成・能力アップをして欲しいと願います。