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新聞休刊日のなぞ

なぜ新聞は一斉に休むのか?

最近、複数の方から、こんな質問をいただきました。
「なぜ日刊新聞はいつも同じ日に休むのでしょうか?」
ある方はこんな理由から、疑問を抱いたのだそうです。
「どのサービス業でも、競合他社との差別化のため、利用時間をずらしたり、増やしたりしています。24時間営業のスーパー、夜まで、土曜も診察する医院など・・・。
1年365日、休まず新聞を届けます!という新聞社が、一社くらいはあってもいいのでは?」
なるほど。いわれてみれば、そのとおりですね。
なんとなく誰もが疑問に思いつつ、そういうものだ、とされてしまっている「常識」を疑ってみよう、という姿勢に共感したので、わかる範囲でご説明します。
私はご存知の通り、元日経新聞記者ですが、学生時代に朝日新聞で新聞配達をしていたこともあります。その経験から、と受け取ってください。

販売店の都合

一番の理由は、新聞を配達している人に休日を与えるためです。
新聞販売店は、特に地方では、複数の新聞社の販売を扱っています。もし新聞社ごとに休みが異なると、結局休めないので、一斉に、となります。
かつて新聞配達員もしていたので、連休になる休刊日は、体を休めるのに、とても助かった記憶があります。冬でも毎朝5時起き。まだ真っ暗です。夜はチラシ入れ、土日は集金。ときに新規開拓の販売活動もありますから。
なんといっても、日本の一般新聞は世界でもまれな、朝と夕の二回発行(世界の常識はどちらか1回のみ)体制をとっています。
また、わざわざ自宅まで配達する(世界の常識はスタンド売り)のも、日本だけ。ともに、販売店・配達員には相当な負担がかかります。
世の中に、週休2日が普及するようになり、販売員にも休みを、となったわけですね。昔はほとんど休みがなかった。
なお、新聞販売店はほとんどが新聞社経営ではなく、FC店なので、独立した自営業者です。したがって、販売員も新聞社の社員ではなく、店の従業員にすぎません。
重労働をやりたがらない人が増え、人探しに苦労するなどの理由も、影響しているかもしれません。

記者は休まない

とはいえ、休刊日でも、記者はまったく関係なく取材しています。世の中が動く限り、報道の活動は続きます。
ただ、記者時代に、せっかくの特ダネが休刊日のため、掲載できなかった、1日遅れた、なんてこともありました。
休刊日の前に大きな記事がちょくちょくでるのは、現在進行形のネタをとりあえず突っ込もう、とするからなんですね。休んでいる間に、テレビなどに抜かれるのが怖いのです。
こうした事情によって、新聞休刊日が設定され、その日数は増える傾向にあります。とはいえ、今やインターネットを使えば、さまざまな情報を年中無休で24時間、好きなときに世界中から調べられます。
もちろん、印刷代も紙代も配送代もかかりません。新聞社は、その取材力、見識、人脈などにおいて、他のメディアの追随を許しませんが、販売などの形態は今後変わらざるを得ないかもしれません。

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