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昭和天皇メモ、その日経記者は?

昭和天皇メモの衝撃

日本経済新聞社広告局の社員が逮捕されたニュースが冷めやらぬうちに、今度は日経社会部記者が大きなスクープをとりました。
昭和天皇が、靖国神社への参拝をしなかった理由について、元宮内庁長官に語った内容(メモ)が明らかにされました。

当時の日経新聞一面をみたとき、「あれっ?」と正直、目を疑いました。
まるで朝日新聞のようなトップ記事が掲載されていたからです。
通常の「日経のトップ記事は経済モノ」と見慣れている目からは、少し奇妙に思えたほどです。
偶然ですが、その日の朝日のトップは、半導体メーカーのニュースでした。
社内では、「どっちが日経の紙面か、わからんなー」との声がでたとか。
「A級戦犯を勝手に合祀してしまったのが不快だ」、という内容も衝撃でしたが、なによりタイミングが絶妙でした。
まもなく終戦記念日で、再び小泉首相が靖国参拝をするのか、注目されていましたし、また、自民党総裁選挙に向けて、候補者が名乗りを挙げようとしているときだったからです。

スクープ記者は?

今回このスクープを取材したのは、私と同期のI記者です。
今年の新聞協会賞の最有力候補になるでしょう。
86年に入社して、東京・社会部で警視庁、大阪・社会部で大阪府警など、主に事件担当をしてきました。
以前も宮内庁を担当していたこともあり、93年の皇太子と雅子妃の婚約決定時にも、今回と同じ富田宮内庁長官の手記を掲載しました。
長官やその家族とは、それからのつきあいのようです。

本人は根っからの関西人で、ジョークを飛ばしまくる「オモロイ奴」と同期の間でいわれていました。ただ、一緒に仕事をしていた後輩からは、「とても厳しい仕事ぶり」との評もあります。
記事の質より量が評価されがちな日経にあって、地道な調査報道が成果を挙げた、といえ、とても嬉しいです。

日経社会部とは?

あまりにもネタがタイミングよく出たために、社内でも、「小泉首相をけん制する意図があったのでは?」という声がでたほどで、政治部か経済部からのネタとも思われたようです。
日経社会部は、社内で文化部や運動部などと同じ「軟派」と呼ばれ、経済部、産業部など経済関連部署の「硬派」とは、毛色が違います。
もっとはっきりいえば、経済紙の日経では本流ではありません。
社会面は、朝刊、夕刊ともありますが、「その6−7割が共同通信など通信社から買った記事で作られている(?)」ともいわれるほど。
朝日、読売など一般紙に比べれば、社会部記者は人数も少なく、正直あまり期待もされていません。

ただ、その分、社会面は、
・独自ネタが掲載されやすい
・生活経済ネタが重宝される
・写真付の記事が歓迎される
などの特徴があり、日経に自社のネタを紹介して欲しい企業にとっては、意外な狙い目のページでもあります。

こうした日経新聞に掲載されるための小技を知りたい方は、好評予約販売中の、<裏ワザ編>DVD「日経新聞にこう売り込め!」(定価19,800円)をご覧ください。

いずれにせよ、インサイダー事件で釈明に追われた日経にとっては、起死回生ともいえる大スクープでした。
「日経社員の逮捕」で失った、現場の記者のやる気が回復することを願いたいものです。