持ち込みアプローチ
電話アプローチの意味は
相手が知り合いならともかく、全く面識のないメディアに電話をしても、すぐに掲載が決まるようなことは、まずあり得ません。
では、なぜ電話でアプローチをするとよいのでしょうか?
重要なのは、「刷り込み」と「差別化」。
リリースが届いていることを確認すると同時に、社名や商品名を耳にさせることで、記者や編集者の記憶に残るようにすることです。
また、多くの広報担当者は、リリースを送ったらそれで終わり、がほとんど。
電話でアプローチすることで、他社のリリースとの差別化が図れます。
媒体にとっても電話をかけてくるほど熱心であれば、「見本がほしい」とか、「違ったカットの写真がほしい」などとリクエストしやすいので、商品力が他社のものとあまり変わらないならば、電話アプローチしてきた方を紹介しがちです。
そのようなことを繰り返すうちに、媒体担当者と会ったことがなくても、先方から電話がかかってくるようになる、など、関係ができていくだけでも、電話アプローチの効果はあります。
プラスアルファとしては、電話アプローチのとき、メディア側の受け止め方をリサーチできることがあります。
ちょっとした感想や、ほかと比べた意見などを、会話の中で得られることがあります。
媒体の担当者は、いわばオピニオンリーダー、消費者代表のような存在でもありますから、そのコメントはなんらかのヒントになるかもしれません。
リリースの「持ち込みアプローチ」
「どうしてもこの商品をあの雑誌に紹介してもらいたい」
というときに、リリース(と、できればその商品)を持って、その新聞・雑誌の担当者に直接会いに行くというのも、ひとつの方法です。
持ち込みをすれば必ず掲載されるわけではありませんが、単にリリース発送のみ、あるいは電話やファクスでフォローするだけより、効果があることは事実です。
最近では、メールだけでリリースを送る、というPR代理店も登場し、それなりの効果を上げているようですが、そのような時代だからこそ、逆に「持ち込み」のような人間的、原始的?な手法が有効にもなるのです。
持ち込みの最大のメリットは、メディアの担当者と直接会って、その商品の説明をすることができるという点です。
「リリースに書いてあるから、会って説明をする必要はない」と思われるかもしれません。
しかし、リリースにはこちらが記事にしてもらいたいことは書いてあったとしても、必ずしも、それは担当者が記事にしたいことではないかもしれません。(★ココはかなり重要!!)
また、リリースに書いてあることを右から左へ書き写すような作業は、編集者や記者の仕事で、もっともレベルが低いと考えられています。
ですから、プロ意識のある担当者であれば、その商品について詳しい人から直接説明を聞いて記事にしたいと考えるのは当然のことです。取材にいかなくても、わざわざ来てくれるのですから、助かるわけです。
さらに、幾度も持ち込みをすることで、担当者と顔なじみになり、信頼関係を築くことができれば、記事として紹介してもらいやすくなります。
あるいは、「新製品としては紹介できないけれど、商品を提供してもらえるのだったらプレゼントとしても紹介してもいい」
など、その場のやりとりで、話が展開、発展することもあります。
つまり交渉ができるのです。(★ココも大事!)
持ち込みは非効率的な、原始的な手法と思われがちですが、人間関係はどの仕事においても、基本ですから、手間をいとわずに、マメに心がけたいものです。
なお、持込をするときは、「飛び込み」ではなく、事前に電話で、
「○○に関するリリースをお持ちして、直接商品の説明をしたいのですが」
とアポを取って行いましょう。
いきなり突撃しても、相手が忙しいときは迷惑ですし、逆に、むこうが「聞きたいことがあったのに、不在だった」では、チャンスを逃すことにもなりかねません。
持ち込みから大きな記事になる場合も
持ち込みが有効なのは、新製品紹介のコーナーに限った話ではありません。
先日あるお客様から、
「大手新聞社がリゾートクラブの特集を組むそうなので、資料を新聞社に送って欲しい」という連絡をいただきました。
その特集は大手のリゾートクラブ2社を本文で紹介し、その他のリゾートクラブの情報も表組みで紹介する、という内容でした。
そこで、直接その新聞の担当者に、
「資料をお持ちしようと思うのですが、お時間はいつ頃がよろしいでしょうか」
と連絡を入れました。
先方は、
「一覧表でチョコッと紹介するだけですから、ご足労いただいてもご期待に添えないと思いますよ」
とのことでしたが、
「それでも構いませんから、是非ともお会いして説明をさせていただきたい」
と強引にアポを取って新聞社をたずねました。
新聞社におもむくと、すでに大手2社の取材は終えており、その取材だけで本文は十分、とのことでした。
しかし、それでも構わず担当しているリゾートクラブ(大手ではない)のことをいろいろと説明をするうちに、担当者の方が、
「詳しく話を聞いてみると、そちらのリゾートクラブもきちんと文章で紹介した方が読者にも親切ですね。表組みだけでなく、本文中でも紹介できるように考えてみましょう」
ということに。
実際に記事ができあがってみると、特集の最後の方に、説明したリゾートクラブがきちんと10行ほどの文章で紹介されていました。
すでに記者が取材を終えた後であったにもかかわらず、さらに、一覧表で紹介されるだけの予定だったにもかかわらず、持ち込みをしたことで、よりよい効果をあげることができたわけです。
これは、手間ひまを惜しまず、熱心に売り込むことで、意外な成果をあげることも可能、という例です。(いつもうまくいくわけでもないので、失敗はいちいち気にしてはいけません。ダメでもともと、の気持ちでいきましょう)