社長コラム

神楽坂ブーム

神楽坂の魅力に惹かれて

オフィスを東京・神楽坂において、4年になります。
以前いた赤坂より安く、それでいて似たように坂が多くて路地裏がユニークであること、和風のカルチャーが豊かなこと、こじんまりした街並みにそそられました。おいしい店がたくさんあります(笑)
また、JR中央線飯田橋駅のほか、地下鉄も南北線、東西線、大江戸線、有楽町線と4つも利用できるので、どこに出かけるのも便利です。
私のようにそうした魅力に惹かれる人は多かったようで、ここ数年、神楽坂は外から移り住む人が増え、静かなブームでした。週末になると、中高年のグループや外国人が、ブラブラと散策を楽しんだり、スケッチや写真をとる姿もよく見かけました。
かつて、田中角栄、宇野宗佑といった政治家の愛人、三国連太郎夫人(佐藤浩市の母)など、各界で名をはせた神楽坂芸者。今でも芸者さんは30人ほどいて、彼女たちを呼べる料亭も9軒あります。
1座敷1人4万円ほどかかるそうです。三味線、歌つき、一見さんはお断りですが。なので、わたしはもっぱら芸者さんの経営するバーのほうにいきます(笑)

テレビドラマの舞台に

1月からフジテレビで、神楽坂の料亭を舞台にした「拝啓、父上様」が始まりました。
主演は、ジャニーズ系の二宮くん、ほかに、高島礼子、梅宮辰夫、八千草薫などがレギュラー出演しています。料亭の板場で働く、母子家庭で育った若者が、見知らぬ父親を想像しながら、さまざまな騒動に巻き込まれるというストーリーです。
脚本は倉本聰(「前略、おふくろ様」「北の国から」など)
彼の神楽坂通いの思い出、変わり行く街への想いから出た着想だそうです。(ちゃっかり馴染みの芸者も出演させている)

若い女性が大勢やってきた

行きつけの親子丼のおいしい店や京都料理の店が、石畳や黒塀の魅力から、架空の料亭としてドラマに登場(看板だけ変えている)し、語られる文具店、和風旅館、てんぷらやなど店の名はすべて由緒あるホンモノと、町全体をロケ地に使っています。
いまや商店街はこのドラマ一色で、通りのスピーカからは一日中、森山良子の主題歌が流れ、ドラマのポスターがあちこちに貼られています。
おかげで、平日の昼間から、観光客が激増。
とくにジャニーズファンらしき、20代前半の女性が、パンフを片手に、ウロウロ歩き回っています。
これまで神楽坂は落ち着いた大人の街として、若くても30歳前後以上の世代が知る人ぞ知る場所でしたが、一気に平均年齢が低下中。
自分の日常いる場所が、街頭ロケでなく、舞台としてテレビに登場するのは不思議な感覚です。賑わいすぎかも。
とまあ、個人的な感想はともかく、メディアを使った、街全体のPRとしては、大成功でしょう。ほかにも伊豆などは、行政が中心になって、ドラマや映画の舞台誘致に取り組んで、効果をあげています。
「街おこし」の有力な手段であるのは確か。
すでにあるインフラ(道路や遺跡など)を活用し、宿泊などを提供するだけなので、費用対効果も大きいでしょう。過疎、財政難に悩む自治体にお勧めしたい手法です。