ウエブ進化論」と「グーグルGoogle」
最近話題になっている本を続けて読みました。
「ウエブ進化論」(梅田望夫、ちくま新書)
「グーグル Google」(佐々木俊尚、文春新書)
両方とも、読み終えて、「ウーム」とうなってしまいました。
「世界ではこんなことが起きているのか」
「これから、こんなことが始まっていくのか」
と、ボーゼンとしたといってもいいかもしれません。
「ウエブ進化論」のほうが先に出版されたので、有名になっていますが、それは米シリコンバレーに住むIT専門家の書。
一方で、「グーグル」はITを技術でなく、社会的に取材するジャーナリストの本です。
似たような現象を捉えてはいますが、視点が違うだけに、両方とも読むべきだと思いました。
紙に書いていた記事
インターネットが登場して10年。
当初の創成期を経て、社会的な変革をIT技術がもたらす「革命期」に入ったか、と思わせる現象が次々に起きています。
「チープ革命」「WEB2.0化」「ロングテール」「オープンソース」「ブログ」「ユビキタス」・・・
技術革新が、社会全体にパラダイムの崩壊と、新たな秩序の形成をもたらすのは、産業革命以来かもしれません。
かつてアルビン・トフラーの唱えた「第3の波」は、実はネット革命だったのかも、と思わせるほどです。
恐ろしいのは、我々の明確に気がつかないうちに、しかし確実に少しずつその変化が起きていることです。
改めて、ちょっと自分の過去を振り返ってみました。
私が日経新聞に入社したとき、記事はボールペンで紙の原稿用紙に書いていました。
つい20年前の話です。
ポケベルがマスコミだけで使われていました。
PC依存に
まもなくワープロが登場し、経済ジャーナリストとして独立したころは、ワープロで書いた原稿をプリントアウトし、FAXで送信していました。10年と少し前です。
ウインドウズ95の登場で、パソコンが多機能化し、総合的なOA機器になりました。
通信もでき、誰もがパソコンを持たざるを得なくなりました。
マイクロソフトはワープロ機能のワードにとどまらず、表計算のエクセル、企画書作成のパワーポイントまで、1台のパソコンに飲み込み、世界を席巻しました。
やがて携帯電話を持つようになりました。
(そういえば、学生時代、最初のアパートでは呼び出し電話だった。部屋に電話がついたときはうれしかったな)
2000年前後のITブームで、Eコマースが始まって、ネットで商取引ができるようになり、やりとりは電子メールに頼るようになりました。
携帯電話の普及も広がり、ビジネスマンのみならず、学生でも携帯は必須のアイテムになりました。
そして、現在。
毎日100通を越すメールを受信し、キーボードから指示や依頼、契約までも、発信しています。新たな商品やサービスを探すときは、まずキーワード検索で、という習慣になっています。
わずか20年足らずの間に、なんという変化でしょう!
それまでの100年はずっと紙にボールペン(または鉛筆、万年筆)で、記事を書いていたのに。
空恐ろしくなってしまいました。
今やパソコンを触らないで済む日はなく、うっかりすると、休日ですら、メールがきているのではないかしら?と不安になることもあるほどです。
週末は自然の中で過ごすように心がけている私ですら、こうなのですから、コミュニケーションがメールでしかとれない、パソコンの世界の中でだけ生活する、という人種すら生み出しているのは、この環境下ではむしろ当
然なのかもしれません。
さらに。
先の2冊によると、ここからまた、大きな変化が短期間に始まろうとしているというのです。
IT企業といいながら実は営業の会社に過ぎない日本企業ではなく、マイクロソフトでもなく、グーグルという米国新興企業によって、その変化はもたらされつつあります。