民主党の党首選挙
民主党代表選挙に、菅直人氏が出馬しました。
小沢一郎氏との一騎打ちです。
彼とは20年来のつきあいであり、家族ぐるみのつきあいでもあります。
学生時代に、彼の自宅で奥さんの手料理を食べ、息子と遊びながら、彼の選挙運動をボランティアで手伝いました。
その息子はいま岡山で代議士を目指し、選挙運動中です。
菅氏が厚生大臣になったときは、ブレーンとして、参画しました。
薬害エイズ問題だけでなく、O−157問題では、犯人扱いされた(カイワレ大根)の誤解を解くため、彼に大臣室で、テレビカメラをいれてモリモリ食べさせたりもしました。
民主党のスタート時には、創設に協力し、候補者が足りないから、といわれ、私まで選挙に出るはめになりました。
菅直人のPR手法
市民運動あがりで、30代で政治家を目指した菅氏は、金もなくコネもなく、地元出身でもありませんでした。(父親はサラリーマン、東工大卒、山口県出身で、選挙区は東京)
そこで、(マスコミを味方にする)、ことを重点におき、選挙戦を戦いました。
漫画家の本宮ひろし氏と対談をして、イラストを描いてもらったり、選挙事務所にオープンスペースを設置して、小さなイベントを連日打ったり、とにかくマスコミの話題になって取り上げてもらうことで、有権者に告知しようとしました。
注目してくれた筑紫哲也さん(TBS・NEWS23キャスター)などとは、マージャン仲間にもなりました。
自民党の候補者たちが4−5億円をかけて選挙戦を戦っているというのに、菅事務所の予算はせいぜい2千万円くらいでした。
そのため、素人の手つくりで戦うしかなかったのです。
ファンを作る
選挙は人手がかかります。
国政選挙ともなれば、遊説、演説会、名簿集め、選挙はがき書き、電話作戦などで100人以上動員しなければなりません。
ところが、お金がない上に、身内と友人しか運動員のいない状況で、戦えるわけがありません。
そこで目をつけたのが、主婦と学生でした。
時間に余裕があって、お金にこだわらない。むしろ、面白さを優先する。
そんな彼らは、絶好のターゲットであり、また、しがらみがないだけに、菅氏の理念(自立した市民による社会の実現)に共鳴しやすい層でした。
我々学生が選挙カーのスケジュールや巡回ルートを決め、おばさんたちがハガキを書き炊き出しをして、ビラを配布しました。
皆でイベントのアイデアを考え出し、実行しました。
選挙のプロがいない分、何をやろうが発想は自由であり、候補者の大変さをよそに、かなり楽しんでいました。
お金をもらっていないのが強みでもあり、理想を実現しようという志もありました。
私たちが楽しそうに運動していると、どんどん人が集まってきました。(来るもの拒まず、去る者追わず)がスタンスでしたから、フラッときて居座るものもあれば、1日でいなくなる人もいました。
(変わった選挙をしている)と、運動員までマスコミ取材を受けました。
企業が学ぶこと
その後も長く続く友人も得ました。
下村健一(TBS サタデーずばっと!キャスター、久和ひとみ(TBS ニュースの森元キャスター)などです。
しかけを作ることで、人が集まり、アイデアがあふれ出し、大きなうねりとなって広がって、結局選挙戦は、トップ当選を飾りました。毎日のように支持が膨らんでいった手ごたえを覚えています。
やむをえない窮余の策であり、アテにならないリスクがありますが、ファンを作って、自律的に支持を広げる、マスコミの力を最大限活用する、といった方法は、中小企業、ベンチャー企業のPRにとって、十分参考になると思います。
菅氏が今回代表に当選したら、またここで詳しくそのPR作戦の経験談を書こうと思います。
P.S. 彼についての本も書きました。24冊ある私の著作の、第1作目でした。
「菅直人の一歩—薬害エイズ問題でなぜ官僚に勝てたのか?」
KKベストセラーズ
(今でもアマゾンで、古本で1円で売っています。これはひどい!笑)